既存のネットスーパーが既存のやり方で収益に苦労する一方、アマゾンやインスタカー
トをはじめとした、新しい発想のサービスが仕掛けられはじめており、今後、なんらかのプ
レーヤーがガリバーとなることも予感されます。
いわゆる既存のネットスーパーには、以下のような課題があると認識しております。
1. 店舗ピッキングにしろ、ステルス店舗ピッキングにしろ、その人件費や配送費は、
薄利多売の食品スーパーには重荷であるにも関わらず、アマゾンやインスタカートのよ
うなローコストオペレーションのモデルが試みられていない
※インスタカートのローコストオペレーションモデルとは
運送の車と人を固定費として雇用せず、運送単価を競争入札させる最安値の変動費とする
ことで、コストを抑えている
※アマゾンのローコストオペレーションモデル
リセーリングコストダウンオペレーション(造語)という、自分の出荷倉庫やピッキング作
業を他の小売業や卸、メーカにマーケットプレースというサービス名で再販し、自社の物流
倉庫の経費を経費ではなく、益転化し、それを商品のディスカウントに反映しようとする新
しいコストダウン経営の考え方。アマゾンは、物流だけではなく、様々な経営資源をリセー
リングすることを試みており、自社システムのクラウド販売、他社発送商品への無料相乗り
同梱、アマゾンフレッシュのトラックの他社食品配送サービス(案)、リコメンデーション
アプリケーションの再販、商品検索エンジン化による商品広告サービスによる収益化
(Google がアマゾンを競合と認識する理由)など、あらゆる経営資源を再販することによ
る超ローコストダウンオペレーションを実施し、将来的には、仕入れた商品価格(仕入れ値)
よりも、安い価格で小売販売するというモデルを目指す新しい経営モデルと認識しており
ます。
2. ラストワンマイルはラストワンマイルだけの問題ではなく、配送の多段階による
コスト増の問題であるが、そこのコストダウンが実現されていない。
※小売店から消費者に配送するモデルは Google エクスプレスがトライ済みですが、これは
うまくいっているとは言いがたいと考えます。
その理由は、配送の多段階性によるコスト増の問題を解決していないためと考えます。
小売店経由の配送段階(6 段階の例)
食品メーカ>食品メーカ商品倉庫>(地域商品倉庫)>(卸倉庫)>(小売商品センター)
>店舗>「ラストワンマイル」最終消費者
アマゾンの配送段階(3 段階の例)
食品メーカ>アマゾンの倉庫>「ラストワンマイル」最終消費者
もちろん、商品や状況によっても異なりますし、上記の一段階ごとにコストも異なるので単
純に比較はできませんが、このすべての段階において、コストダウンが仕掛けられないと、
最終小売価格を店頭と同じもしくは、それより安いというアマゾンとの戦いには勝てない
のではと考えます。
※もちろん、競争は価格だけではなく、自社ブランド商品の展開ということもありますので、
一概には言えません。
3. 今後、出来立て提供の競争激化を予想しているが、その領域はまだまだガリバーが
存在していない
米国のスーパーでは一部、自店舗内で調理し、その場で食べられるカウンターを設置やバイ
キング形式でのお持ち帰りのシステムが登場してきております。
今後は日本でも出来立てで、かつおいしいものを提供できるかという競争が急速に展開さ
れると想定しております。
簡単に表現すると、「今日の夕飯、スシローにする?、ガストにする?、それともスーパー
にする?」というような会話が当たりまえのようになされる時代がくると想定しておりま
す。このとき、総合スーパーの不振の衣料品フロアは自前のレストランになるとも想定され
ます。
これはスーパーに外食店がインサイトとして出店するのではなく、スーパーにある生鮮を
つかって、レトルトではない、本当の出来立てを提供する味の競争になると考えています。
もちろん、この流れは、宅配と絡んでくることが予想され、コンビニや外食、スーパー、が
できたてのデリバリーの競争を激しく展開すると思われます。
このとき、出来立てを配達すること、あるいはその食材をローコストで提供することができ
るデリバリサービス業者は大きなシェアを占めることになるとも想像されますが、まだ、こ
の出来立て提供に関しては、ネットスーパーの現時点の仕組みでは十分に考慮されていな
いと思われます。
以上が、いわゆる既存のネットスーパーにおける検討課題であると認識しております。
貴社が今後食品におけるラストワンマイルを絡めて、利益のあるビジネスが成立させら
れるかどうかを検討していくときに、頭の片隅に入れておいていただければと考え、ここに
概要だけを書かせていただきました。
おそらく、競争の最終ゴールは、宅配料は無料ということになると思われます。
つまり、店頭で購入するのと同じ値段もしくはそれ以下で、自宅で受けとれるという姿だ
と考えます。
そのためには、いかにトータルコストを安くするか、そして、そのコスト回収の方策とし
て、各スーパーを超えた、年会費による、宅配サービス会費で回収されることが主流になる
と考えます。
そのためには、各スーパー、コンビニチェーングループを超えて、その消費者の住む近隣
店舗の商品を宅配料無料で配達できるというドミナント型での地域制覇のモデルを先に押
さえたプレーヤーが生き残るのではと想定しています。
特に、個人宅配は、その個人宅配者に多くのビジネスチャンス(宅配量)を配布できるプ
レーヤーが、彼らを排他的に支配できるため、後発者に対する参入障壁を構築できる構造を
もっているとも考えます。
もし、このような視点を踏まえて、貴社内で検討される場合には、弊社にも、ぜひ、お声
がけいただき、弊社メンバーも検討に参加させていただければ幸いです。
以上